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植物体の構造(葉茎根)

「維管束植物」と呼ばれるシダ植物と種子植物は、一般的に葉・茎・根という三つの構造から成り立っています。

①葉

茎に側生している器官で、光合成を行うという重要な役割を担っています。通常葉の形が扁平であるのは、光を十分に受け取れるようにするためです。
葉は基本的に、葉身、葉柄、托葉からなっています。

  • 葉身…葉の本体で光合成の主要な場
  • 葉柄…葉身と茎をつなぐ柄状の構造
  • 托葉…植物の一部のに存在する、葉の基部付近に生じる一対の葉的な器官。芽生えの際に葉身を保護する

葉の構造


葉の構造

葉をくるむ組織は表皮組織と呼ばれ、外気と接する葉の一番外側は、ロウに似た物質からなるクチクラ層(水分をほとんど通さず、葉に送られた水の蒸発を防ぐ機能を持つ)と呼ばれる膜が形成されています。
裏の表皮組織には「気孔」があります。気孔はソーセージのような形の細胞が動いて開閉され、光合成に必要な二酸化炭素の吸収や、酸素・水蒸気の排出をコントロールしています。

表皮組織に囲まれた葉の内部にあるボール状のものが葉肉細胞です。細胞一つ当たり数十から百程度の葉緑体を持ちここで光合成が行われます。
※葉肉細胞は葉の表(太陽光が当たる側)と裏で細胞の並び方が異なります。表は、細長い細胞が整列して並び(柵状組織)、裏は様々な形の細胞が隙間を開けてランダムに並んでいます(海綿状組織)。

更に、葉の内部には道管・師管から成る、維管束と呼ばれる器官が存在しています。道管は根から吸い上げた水分を葉へ送り、師管は葉において光合成で作られた炭水化物(デンプン)を植物体内へ送るという機能を持っています。維管束は、葉では葉脈として見られます。

植物の葉が薄くても丈夫なワケ

 葉は太陽光を効率的に集めるために薄い構造を持っています。では、非常に薄い構造であるのにも関わらず葉が頑丈なのはなぜなのでしょう。
 葉は内側の組織である葉肉細胞を、表皮組織が挟む構造になっていますが、このサンドイッチ構造によって強度を維持しています。これは飛行機の翼と同様の仕組みになっています。また表皮組織の中でも、表面をコーティングするクチクラ層が葉の強度において最も重要な役割を担っています。
 この仕組みは、京大とオランダのユトレヒト大学が共同で行った研究で解明されました。今後、この葉の構造を元にして、薄くて軽く丈夫な構造物、例えば高性能の飛行機や耐震強度の高い建造物の開発ができるのではないかと期待されています。


②茎

葉や花などの植物の地上部構造を支える役割を持っています。また、葉において光合成で作りだされた炭水化物を植物全体に行き渡らせたり、葉が光合成を行うために必要な水や無機養分を根から葉に受け渡す働きも担っています。
草本で茎と呼ばれるものは木本では幹と呼ばれます。主軸である茎から分岐した軸性の構造は枝と呼ばれます。

茎が地上部を支えることにより、植物は自立することができています。これは、植物が細胞壁(「植物の細胞」を参照)をもつことと、道管を含む木部に分厚い細胞壁をもつ繊維細胞が存在していることで茎の強度は高められているためです。

茎の構造

茎の構造

茎の内部には根や葉と同様に維管束があります。
維管束の配置は、大まかに言うと裸子植物と双子葉植物はほぼ共通で、単子葉植物は異なっています。

  • 裸子植物と双子葉側物…不整中心柱と呼ばれる配置構造。皮層は薄く、内部の維管束は散在しており形成層がない
  • 単子葉類…真正中心柱と呼ばれる配置構造。皮層が発達していて厚い。維管束は環状に配列し、木部(道管を含む組織)と師部(師管を含む組織)の間に形成層がある


  • ※中心柱とは維管束植物において、その茎の内部の維管束を含む部分を指します。

    ③根

    根は植物の体を基盤に固定し、支持する機能を持ちます。また植物に欠かすことのできない水を吸収する器官でもあり、効率よく水を吸い上げられるように枝分かれしながら伸び土壌と接する面を大きくしています。

    根の構造
    根の構造

    双子葉植物と単子葉植物で根の構造が異なります。

    • 双子葉植物…地上部の付け根から伸びる「主根」、そこから枝分かれして伸びてくる「側根」を持つ
    • 単子葉植物…主根を持たず、「ひげ根」と呼ばれる何本もの細い根を張る

    根の先端の分裂組織 (根端分裂組織) を保護するため、根の先端は根冠と呼ばれる組織で覆われています。

    根の表面には、「根毛」という細かいひげのような根があります。根毛は根の表皮細胞が変化した一つの細胞から成り、内部には無機物・有機物が多く含まれています。そのため土壌よりも浸透圧が高くなり、外の水分が根の内部に流れ込みます。そして道管に到達した水は、茎を通って葉の隅々にまで送られていきます。

    根の内部は、中心にある木部が放射状に形成されていて、その間に師部が存在しています。このような維管束を放射維管束と呼ばれ、多くの維管束植物に共通した構造になっています。

    参考文献
    生物図説(秀分堂)、植物の体の中では何が起こっているのか(ベレ出版)、「植物」という不思議な生き方(PHP研究所)、https://www.biol.tsukuba.ac.jp/~algae/BotanyWEB/top.html