庭木植え付けの実際
花木や庭木の苗を庭に植えつける方法は樹種により多少の相違はありますが基本は同じです。
植える場所の選定
木を植える場合の最大のポイントです。植えたい木をどこに植えるかは木の性質で決まります。逆にいえば、今あるお庭の環境に合う木しか植えられません。またスペースも重要で狭いお庭には桜のように大きくなる木は植えられません。面積、日当たり、風通し、年間の気温変化、土壌の水分量(湿り気が多いか、パサパサしているか)、土壌pHなど十分勘案して、植えられる樹種を決めます。その上で10年後の姿を想像して植える場所を決めます。
植え付け例ではコニファー(針葉樹)のブルーヘブンを植えてみます。日当たりさえ良ければ、土質を選ばず、耐寒性もありますが、風通しには注意が必要です。建物の陰などに植えると風通しが悪く、夏に壁側が枯れあがります。
植え付け作業
11月24日実施。植えつけに際し、苗木のほか堆肥または腐葉土を用意します。直径30cm程度の根鉢なら18リットル程度のものを1袋。植える場所に根鉢の直径、深さの2倍のサイズの穴を掘ります。根鉢が直径、深さとも30cmなら直径60cm、深さ60cmの穴を掘ります。掘り上げた土に堆肥、腐葉土を袋半分くらい混ぜ、深さ30cmまで埋め戻します。苗木の根鉢を穴の底に置き、幹を垂直に支え根鉢と穴の隙間に堆肥、腐葉土を混ぜた土を入れ、埋め戻します。苗木の地際が地面の高さより多少高くなる程度に、植える深さに注意します。最後に残った土で幹の周囲に同心円状の高さ10cm程度の土手を作ります。これを水鉢と言います。
苗木根鉢の直径、深さの各2倍の深さが目安です。
直径60cmに掘ります。
掘り上げた土に腐葉土を混ぜます。
正しく垂直に立っているか確認します。
腐葉土を混ぜた土で埋め戻します。
埋め戻しただけでは、全く土が締まっていませんので、「水締め」という方法で土を締めます。ホースで水が引ければ、先ほど作った土手(水鉢)の中にホースで水を注ぎこみます。同時に幹を持って、小刻みに苗木を揺すります。水が引くとともに土が締まってゆきますので、苗木の元の地際が庭の地面の高さと同じになったら終了です。
水鉢に水を注ぎ幹を揺すります。
しっかり土が締まった後、もう一度水張りします。
簡単でした。
支柱立て
60~70cm程度の小さな苗木なら支柱はいりませんが、それ以上の大きさがある場合は、支柱が必要です。春になり発根温度に達したら、根鉢は盛んに新しい根を出しますが、幹が風であおられるとせっかく出た根が切れて、いつまでも活着しないからです。1m前後までなら支柱を1本立てただけでも何とかなりますが、それ以上では三叉の支柱が必要です。
直径2cm、高さ180cmの支柱を3本、針金、麻ひも(またはシュロ縄)を用意します。木の周囲に三叉になるように支柱を打ち込みます。2本づつを針金で結束します。ここでのポイントは3本まとめて結束しないことです。次に株立ちになっている太い幹を一番近い支柱に麻ひもで縛り付けます。麻ひもを使うのは幹の成長する頃には腐って幹に食い込まないようにするためです。写真は結束の様子が分かるよう木の手前で結束してますが、実際にはうまく枝で隠れるようにしてください。
2本の支柱を針金で縛ります。
もうひと組の支柱も針金で結束
麻ひもで幹を支柱に固定
支柱立て完了しました。